2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
フォト

« 阿久悠で育った | トップページ | 『男一代菩薩道』 »

忘年会の謎

本来あるべき忘年会の形は、散会と同時に一年が終わり、除夜の鐘が鳴り渡る
冬の巷を千鳥足で家路を辿る、というものではなかろうか。
いつだったか、お釈迦様が悟りを開いた仏教の根本聖地ブッダガヤで大晦日を
迎えた時、ワシはチベット難民が経営する大衆食堂にいた。店の隅に置かれた
テレビにはNHK国際が映り、除夜の鐘の実況中継が流れていた。
白い息を吐きながら撞木を振る僧侶がアップになる。ワシは画面を指して、隣の
椅子に座るチベット青年に日本の風習を説明した。興味なさそうに顔をそむけた
彼は、店の入口に立つ化粧の濃いチベット女性へ目配せをして、出て行った。
(・・・売買春、か)
これも現実だ。チベット人の難民生活は、すでに半世紀になんなんとする。

かねてからワシには、忘年会が抱える矛盾について、釈然としない点があった。
二次会、三次会までやって、まだあと何日も残っている場合だ。
忘年会終了から大晦日までの期間、一体どのように過ごすべきなのだろうか。
ネクタイを頭に巻きケツに割り箸を突っ込んで、部長のカツラを奪い取り股間に
当てながら新人OLと躍り狂った狂乱怒濤の記憶を、どうやって背負うのか。
やはり、日本伝統の精神文化『ハレとケ』なのであろう。
一年最後のハレたる忘年会で起こったことは、断じてケの生活に持ち込んでは
いけないのだ。部長のヅラは毛が無いゆえのツールだが、なにがあってもケの
話題にしてはいけない。生え際や襟足を、五秒以上凝視してはいけないのだ。

忘年会に関して、苦々しい思い出がある。
百貨店やプロ野球で有名な某資本グループが経営する巨大霊園でのこと。
ある年末、施主の依頼でそこへ出向いたワシは、約束より早く着き過ぎたため
車の中で時間を潰していた。やがて駐車場の空きスペースに一台の高級車が。
運転していたのは、青々と頭を剃り上げた新米僧侶。
「おはようございます☆」
車から降りて来てワシに挨拶する。おー、爽やかじゃのお。青春じゃのお。
「こないだの忘年会は、すごかったっすよねえ。僕、あんな豪華な料理やお酒は
初めてですよ。さすが天下のSグループっすよねえ♪」
は? なんのこっちゃ。どうやら文脈から察するに、この青年僧は霊園経営者が
催した『関連業者向け接待忘年会』に参加したらしい。
き、きみね。これから仏道を歩む者が、業者接待に浮かれてちゃいかんだろお。
若者はもっと志を高く、そして魂を清らかにだなあ・・・。
「今から新年会が楽しみっすねえ♪」
そこへ、いかにも大企業のビジネスマン然とした霊園職員が通り掛かった。

青年僧はすぐさま駆け寄って、深々と四十五度のお辞儀をした。
「おはようございます☆」
へがふんぬぐおわあぁぁぁぁ~ッ!(こっぱみじんに吹き飛んだワシ)

« 阿久悠で育った | トップページ | 『男一代菩薩道』 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

有難いであろうお言葉のほとんどが右から左。
そんな下品上生ですが、
参拝させて頂いてもよろしいんでしょうか。

(文字通りの時季、ご無理なさいませぬよう)

はじめまして(かな?)
善導曰く、『九品唯凡』。人はみな、右から左ですよ。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

♪ぜんど~、どくみょう~、ぶっしょ~い~
音調が変わるここで正座の脚を組み替えます。
舟漕ぎしないだけでもマシか。(痺れてそれどころじゃ…)
ご本堂は床下暖房でしょうか、ちと風邪気味で。
ああ、やはり下品上生。
遅れました。こちらこそ、よろしくお願い致します。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/503578/17441422

この記事へのトラックバック一覧です: 忘年会の謎:

« 阿久悠で育った | トップページ | 『男一代菩薩道』 »