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牛に引かれて

今や無鉄砲の権化、テロ多発地帯のド真ん中へ丸腰のまま血走り眼で突入する
このワシも、幼少の頃は、もんのすごく「怖がり屋さん」であった。
いわゆる都市伝説というか、子供社会に流行する怪談は民俗学の研究対象でも
あるけれど、スタンダードのひとつといえば、『件(くだん)』。
ニンベンにウシ、と書く人牛。 ケンタウルスや狼男につらなる人獣混合系妖怪の
種族だ。目は虚ろに、口をだらしなく開いて、とめどなく涎を流す。時として哀惜を
帯びた叫び声をあげ、衆人を恐怖の淵へと引きずり込む。
「僕、見たもん。四丁目の空き地の先に古い外国っぽい屋敷あんだろ。あそこの
二階の部屋、いつも窓閉まってんのに、このあいだ行ったら開いてて。そしたら、
窓から中学生ぐらいの兄ちゃん顔出して。そいつ、すげえ痩せてて、青白い顔で
じっとこっち見てて。目があったら急に鳴いたんだよ、モオォォ~!って」
街外れの洋館、二階の開かずの間、年上の病んだ少年などなど、心理学分野が
賑やかになりそうなキーワード満載だが、子供の頃のワシは、この怪談にマジで
ビビった。悪夢にうなされた。 しかし夢に出て来たのは、なぜか詰襟の学生服を
きちんと着たホルスタインだった。思えば、シュールなコスプレである。

当時、町内会主催の日帰り旅行があった。高度成長初期の昭和では、まだ旅は
贅沢な遊びだった。ご近所でバスを借り切って、海や山へと出掛けたものだ。
観光バス、といえば乗り物酔い。ご他聞に漏れず幼いワシも、よく酔った。
「我慢しろ!男なら吐くんじゃないっ」
あの頃の父親というのは絶対権力の大魔王みたいな存在で、隣の席で煩悶する
息子に気を揉む、なんてことはしなかった。目的地に着いてバスを下りてしまえば
気分が変わってなんとかなる、と。実際、ワシはなんとかなった。
さて、澄みきった青い空に心を解き放たれ、行楽気分を満喫したところで、待望の
お食事タイム。野趣あふれる御膳に、当時としてはリッチな料理が並ぶ。
と、ワシの前に座ったのは同じ町内に住む中学生男子。痩せた体に青白い顔。
まだ乗り物酔い状態が続いてるらしく、目は虚ろ、口は半開きだ。よせばいいのに
その中学生、料理に箸を付けて食べようとした。すると、次の瞬間・・・!

(自主規制。牛の生態に『反芻』があることだけを記しておく)

長じてワシは、インドへ通うようになって、気づいたことがある。
道路の真ん中で、往来の迷惑も省みず、ドテ~っと寝っ転がるインド牛を見たとき、
みずからが背負ったカルマを思い知らされた。わが前世は、牛である、と。

てなわけでワシは今週末、牛に引かれて善光寺へ参ります。

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