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猛き老兵

大手マスコミからチベットの「チ」の字も消えた。
やがて、五輪狂騒曲一色に染まることは、目に見えている。
ついこの前までチベット弾圧がお茶の間レベルの話題だった
ことを思うと、初夏にも関わらず、うすら寒さを感じる。
中国国内では聖火リレー再開。

思考の彼方へ記憶を追いやろうとする者がいる一方で、今も
変わらず、記憶の世界に生きる者もいる。
先日、坊主にとっては日常業務の、葬儀を勤めた。
斎場に入って目を引いたのは、柩に懸けられた旭日旗。
故人は戦時中、帝国海軍で飛行兵を指導する役目をしていた
そうである。御長男氏が述懐する。
「親父は生前、戦争のことは語りたがらなかったんですよねえ。
ただ一度だけ何かの時に “俺は若い奴らを死なせてしまった、
特攻隊の連中に死に方を教えた俺が、生き延びてしまった” と
言ってたのが、すごく印象に残ってます」

通夜の後、供養の席で、ワシの隣にジイサン軍団が座った。
かつては故人と同じく帝国海軍の荒鷲だったそうな。
たまたまワシは話の流れから、4月26日長野での『紅旗ノ乱』に
ついて詳細を語った。すると、その直前まで好々爺然としていた
彼らの顔が見る見る豹変。眼光炯々、背筋までピンと伸びた。
「ぬわんと!支那人め、無礼千万っ。断じて許すまじ!」
(もしかしてヤバイ地雷、踏んじまったか?)

明くる日の葬儀。元帝国海軍の面々から、『同期の桜』奉唱にて
出棺を見送りたい、との申し出あり。
火葬場の予約時間を気にする葬儀屋さんは、かなり迷惑顔。
だが、昨晩からスイッチが入ってるジイサンたちは完全アゲアゲ

状態で誰にも止められない。Can't stop the old Samurais.
「♪ きぃ~さまとうぉ~れ~とぉ~わぁ~・・・」
朗々たる歌声。九十近い御老体のどこにそんなパワーが潜んで
いたのか、思わず聞き惚れてしまった。

初七日を終え、帰路につくワシに、海の荒鷲は言った。
「和尚。今度チベットの人たちに会ったら伝えて下さい。日本人は
絶対にチベットを見捨てない、と」

記憶の世界に生きるジイサンたちは、本当にカッコよかった。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

じいちゃん'S かっこええ~!
こういうじいちゃんたちには、「シルバー世代」とか「お年寄り」とかいうヌル~イ表現は相応しくないですね。まさに「老兵」がぴったりきます。
時々思うんですよ、うちにもこんなじいちゃんがいたらなあって。そうしたら、子供たちも自然と背筋が伸びるだろうと思うんですよ。修羅をくぐり抜けてきたじいちゃんは迫力が違うでしょうね。
しかし平成日本は、じいちゃんたちに見向きもしない。じいちゃんたちを支えてきたばあちゃんたちにもね。
ちなみにアメリカには11月11日にベテランズデー(退役軍人の日)という祝日が設けられている。翻って敗戦国日本は、退役軍人を誇りに思うことはない。戦勝国のエゴに屈して命がけで戦った人をないがしろにするとは、戦後、魂までが敗北したわけです。

>HIROMI様
敗戦後六十年以上経った今も、当時のスーパー・エリートだった海軍のジイサンたちは、みんなお洒落っ気があって、そこいらの「ちょいワル中年」なんざ到底足もとにも及びません(←自戒)。
別れ際の名台詞には、マジで泣けました。あの志で『亜細亜解放』のために戦った大先輩がいる国で、いま若者たちが「FREE TIBET!」を叫んでる。大和魂に思わずジィ~ンと来ちゃいましたよ。

今日も「FLEE TIBET」のTシャツを着て子供の学校に行きましたよ。でもだーれも話題にしてくれなかった(泣)
でもくじけないもんね。今日は「FLEE BURMA」のTシャツが届きました。この夏は、この2枚で過ごします。

打ち間違い↑FLEEじゃなくてFREEです!

和尚様 初めまして。
ある日、偶然 和尚様のブログを拝見してから
毎日、和尚様の記事を 楽しみにコッソリ読ませて頂いております。

私も、全く政治に関しても 無知、無関心で生きてきましたが、チベット問題から チベットの平和を願うばかりでなく 日本の政治などにも真剣に疑問を抱くようになりました。
私は、日本の為、家族の為戦ってくれた世代の人達に感謝しています。戦後一生懸命日本を建て直してくれた先人達に 敬意を払いたいです。
ここ数年は 強くそれを感じてきたので
このおじいちゃん達の話に 涙が出てしまいました。

もっともっと 国民が誇れる日本であってほしいです。 

素敵なお話を ありがとうございます。
これからも 和尚様の記事を楽しみにしてますね。
突然の長文コメント 失礼いたしましたconfident

じいさんたちはかっこいいのは確かなんですが、
そのDNAを少しでも私たちが引き継いでいく必要があると
私は考えるのですが、、、

今の世の中は、日本人の過去を消し去ろうとする廃仏毀釈と同じ発想で、日本人の誇るべき精神性と、先人が血と汗で築き、今の僕たちの平和で安全で何不自由ない暮らしを作り上げてくれた日本の近代史を、根拠無く踏みにじり否定しようとする勢力で溢れています(その人たちも、この平和な日本の安住していますが、その矛盾に気もつかず…)。
この、じい様たちのDNAと精神を、少しでも残し、伝えていくのが今の世代の義務だと思いますが。

>HIROMI様
チベットの『雪山獅子旗』は清朝崩壊後、日本の旭日旗をもとに、日本人がデザインしたという説も在ります。「FREE TIBET!」は、日本人の良心なんですね。

>うた。様
こちらこそはじめまして♪今後ともよろしくお願いします☆ m(*^_^*)m
チベット問題は、戦後かりそめの平和を謳歌してきた日本人が、敢えて目をそむけてきた『二十世紀の負の遺産』なんですね。国連常任理事五大国=戦勝国(原爆投下の戦争責任をウヤムヤにした者たち)という図式の中で、ひらたく云えば、
<むかし仲が良かった友だちをシカトして、喧嘩の強いイジメっ子に媚びを売る>
そんなことをしてきたのが、戦後日本の政治なんです。
ペマ・ギャルポさんは少年時代に日本へ亡命して来る時、
「ああ、これからは故郷のチベットと同じ、仏様の国で暮らせるんだ」
と嬉しく思ったそうです。この気持ちに是非とも答えていきたいものですね。

>ま~様
その通りですよ☆現代の若者が「FREE TIBET!」の声で立ち上がったことも、民族の遺伝子のお陰だと思っています。

>凡夫様
なるほど!「廃仏毀釈」に近い状態ですよね。炯眼感服☆
言うなれば『廃日毀国』かな。ラサ蜂起以降、それまで高らかに「世界市民」とかなんとかホザイていた廃日毀国の自称平和主義陣営が、ピタリ!と口を閉ざしています。民族自決・自治権拡大を求めるチベット人の叫びは、世界市民という発想(じつはこれ共産主義)と正反対ですからね。あるいは苦し紛れに、
「もっとチベットも中国もきちんと話し合うべき」
と、お得意の“話せば分かる”でお茶を濁そうとするブザマな始末。言うまでもなく、チベット亡命政府側は今まで何度も話し合いによる解決を打診してきましたが、それを片っ端から頭ごなしに叩き潰してきたのは中国共産党です。
それを考えると、DNA云々もさることながら、日本人ひとりひとりの、人間としての良心に関わる問題のような気もしますね。

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