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情けなや

フィレンツェの『サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂』は、
よっぽど落書きしたくなる建物のようだ。
イタズラや落書きは日本人観光客に限ったことではないが
わざわざ具体的個人情報を残すマヌケも珍しい。
「旅の恥は掻き捨て」
というが、それは立ち去って行く者だけの勝手な言い分。
そこに生まれ、そこで暮らしている人間とっては、昨日から
今日、そして明日へと続いていく現実なのである。

数年前、インドのカルカッタ(現コルカタ)での出来事。
日本の団体がマザー・テレサ協会へ寄付した段ボール箱
いっぱいの文房具類が、何かの手違いで首都のデリーへ
届いてしまい、たまたまカルカッタへ行く予定だったワシが
それを運ぶことになった。
酷暑の中、段ボールを担いでベンガルのスラム街を歩く。

孤児院に着くと、白衣をまとった若いインド人のシスターが
迎えてくれた。荷物を確かに受け取った旨の「受取証明」を
書いてもらい、後日、わが国の団体まで郵送してくれるよう
頼んだ。慈善物資といえど、預かり物だからだ。

さて、表通りに出ると、道の反対側に日本人女性とおぼしき
旅行者が、ひとりぽつねんと立っている。
白い帽子に白いTシャツにリュック。気配は、隙だらけ。
周囲には、好奇の目をらんらんと輝かせて彼女を取り囲む
ベンガル兄ちゃん軍団。 このままどこかへ連れ去られても
不思議でない状況だった。
「こんにちは。ここでなにをなさってるんですか?」
声を掛けると驚いた様子。異国で日本語に接したことより、
突然、首から数珠を下げて無精ヒゲを伸ばした黄色人種が

現れたことに恐怖を感じたらしい。
「えッ? 日本の人ですか?」
あきらかな不審の色。いろいろ話をして疑念を晴らしたあと、
ここへ来た目的を尋ねた。
「マザー・テレサ協会でなにかお手伝いをしたくって♪」
目の中に星をきらきら☆させて彼女は答えた。
旅行がてらにボランティアの真似事をやってみたい、と。

さきほどの孤児院へ引き返し、シスターに事情を説明すると
案の定やんわり断られた。
「貴女に神の御加護のあらんことを」
シスターは親切に宿の手配までしてくれた。その日本女性は
なんと居候するつもりでいたのである。

見送るワシにジャパニーズ・ガールはこう言い捨てた。
「インド人って、けっこう冷たいんですね」

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コメント

頭が悪くて無知で厚かましい人ですね。
なにも外国にまで出かけて日本人の恥をさらすことはないでしょうに。

>チンシャ猫様
善意を気取ってる分、落書きよりタチが悪いかも知れませんね。ちなみにこの女性、シスターが入れてくれた紅茶に口をつけませんでした。こっそり理由を聞くと、
「カップが汚れてたからなんか不衛生っぽくてパス」
・・・孤児院はホテルじゃねえッ!

ああ 私も偽善愛好家と自覚してる人間ですが
遥かに ↑をいく方ですね(苦笑)
常に 相手の立場や状況、気持ちを察する努力だけは
忘れたくないものです。
「こんなにしてあげたのに!」この想い 私もなりがちなので、日々修行デス (-公-`;)

>うた。様
いえいえ、その自覚こそ大事なんですよ。これは自己満足なんだ、という身の程を知ることがまず基本です。かく言うワシだって、あちこちガタがきた中年の体でわざわざ長野まで乗り込んで丸一日デモに参加したりしてるわけですから。
「今生に如何にいとおしく、また不憫に思うとも、存知の如く助け難ければ、その慈悲、始終無し」(親鸞『歎異抄』)
「有限な人生の中で、どれほど相手を愛しく、また可哀相だと感じても、思った通りには助けてあげられないのだから、その愛情は不完全なものだ。うぬぼれるな」
という意味です。

平和ボケの典型的な症例ですね。
かく言う私も、若い頃は海外へ一人旅なんぞして越に入っておりましたが、今にして思えば、かなり不注意な行動をしていました。「みんないい人」だって勝手に思いこんでいたわけです。今、こうして無事に生きているのも、単にラッキーだったということです。神仏ご先祖様に感謝しなければなりません!

子どもに「人を見たら泥棒と思え」と教えた昔の親は賢かったと思います。今は、「そんなことを子どもに教えるのは心が痛む」と戸惑う親が多いようです。私は、「人間関係を築く」ことと、「警戒心を持つ」こととは別物だと思いますが。

>HIROMI様
日本人は、閉じた島国の中で日本人同士が日本語で会話をし似たような考え方をする、という環境の特殊性になかなか気付きませんね。ワシ自身、一人旅で初めて海外へ行った時には、その個人主義文化と嵐のような自己主張に、ものすごいカルチャー・ショックを受けたものです。あの頃ワシは若かった。 coldsweats01
『鬼手仏心(きしゅぶっしん)』
警戒心と人間関係構築のバランスは、この言葉に集約されてると思いますね。

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