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天安門

映画『天安門、恋人たち』(ロウ・イェ監督)を観た。
中国ではいまだタブーとされる天安門事件を果敢に取り上げ、
また大胆な性描写に挑戦したこの作品は、政府当局によって
中国国内での上映を禁止され、 監督は五年間の表現活動を
禁じられたという、いわくつきの映画だ。ぜひとも観なくては。
と、酷暑のなか勇んで映画館まで出掛けたが、率直な感想を
言わしてもらえば・・・困った。つまんないのである。
だが、作品に対してマイナスの評価を下すことは、これを弾圧
した中共に大枠で同意する結果になってしまう。困った。
肝心な天安門広場の虐殺場面はなく、轟く銃声と兵士の姿で
間接的に描いただけ。一部に当時のニュース映像も使用され
てはいたが、例えばあの事件を象徴する、学生が戦車の前に
立ちはだかったあまりにも有名なシーンは使われていない。
しかし、自由のない国で禁忌に取り組んだ映画人の勇気には
拍手を贈ろうと思う。次は、『ラサ』を作って欲しい。

映画から現実に立ち戻る。
「柴玲を覚えているか?中国人はみんなあの女を地獄の油で
揚げてやりたいと思ってる。お前はあの女と一緒だ!」
これは今春、米国デューク大学でチベットを支援する自由圏の
学生と中国人学生が「チベット問題」で真っ向から衝突した際、
冷静な対話を呼びかけ仲裁に入った女子大生:王千源さんに
対し、同胞から浴びせられた罵声である。
この時、あたかも売国奴の代表の如く云われた柴玲さんとは、
かつて天安門広場で学生運動を指揮した女性のことだ。
1989年6月4日、中国共産党は天安門広場に集結した民主化
運動の学生らを「叛乱分子」と断定し、人民解放軍戦車部隊を
投入、虐殺を断行した。いわゆる『血の日曜日』事件である。
これ以降、再発を恐れた中共本部は、徹底的な「愛国教育」を

実施。その結果、自由な声が学生の間から消えた。

今年4月26日、長野に中国人留学生が約五千人動員された。
五星紅旗を振り回し、市内を我が物顔に席巻した。
或る日本の青年が彼らに問うた。
「君たちは天安門事件を知らないのか?」
中国人学生は、まるで子供がナゾナゾにでも答えるように、
「知ってるよー」
と、うそぶいた。あまりにも愚かしく、哀れですらあった。

二週間後、天安門広場は、北京五輪の乱痴気騒ぎに染まる。

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コメント

あのおぞましい天安門事件をライブで見た私にとって、現在の中国人学生たちが哀れでならない!本当に誤った教育は罪深い!
中国ではないが、ある韓国人と話していて同じように憐憫と空虚感を味わったことがある。金大中、盧武鉉と続いた南北融和対策下で教育を受けた世代の人だった。彼らは驚いたことに、北に対して奇妙な愛着と楽観的な将来を見据えていた。私は無駄とは知りながら、「今では核武装をしているし、脅威は感じないの?」と訊いたら「アメリカが怖いから戦争はしないよ、大丈夫でしょう」と言った。もともと身内だから愛着があるのはわかるけど、教育によってこんなにも気分が変わるもんなんだな。ふた昔くらいは少なくとも北に警戒心や恐怖心を抱いていたのに。なんてったって相手はヤクザ、目を覚ましてほしい。
知り合いの香港人もかつて「中国政府が怖い」と言って真剣に移民を考えていたけど、結局移民したら商売にならないと悟り、現在は中国相手に事業をして成功しているようだ。
中国人学生が素直に飼い慣らされているのも、経済発展という餌のおかげ。ロシアのプーチン独裁がまかり通っているのと同じ。経済が破綻したときに再びこれらの国は激震に襲われるだろうね。
オリンピックが始まる。単にスポーツを愛する人には罪はないが、如何せん、この開催は誤りであったと思う。

>HIROMI様
そうでしたかッ!天安門事件の、その場にいらしたんですか。ならばなおのことイマドキの中国人学生に対して忸怩たる思いがおありでしょうね。
映画『天安門、恋人たち』のストーリーは、80年代、中国北朝鮮国境の田舎町から北京の大学へ進学、上京した女の子:余紅を主人公に、民主化へ向かっていた当時の中国のキャンパス・ライフと天安門事件、そして運動に挫折した後の登場人物たちが「青春の後始末」に手を焼いて、次第に堕ちていくさまを描いています。
この映画を観てワシが思い出したのは、70年代後半の日本を舞台にやはり「青春の後始末」を描いた、桃井かおり主演の『もう頬づえはつかない』でした。

ごめんなさい、見たと言っても戒厳令が布かれる前の、まだ事態がシリアスになる前の状態でした。帰国して報道を見ていると、事態が日を追って深刻化して行き、あの虐殺が起きたんです。本当に他国のことながら体中に怒りが込み上げて、いたたまれなかったですね。
80年代の、民主化に希望を抱いていた中国の若者の、なんともいえない熱さ、爽やかな雰囲気を忘れることができません。当時の様子を描いた映画「グレートウォール」だったかな、結構好きでした。

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