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生命の現場から

去る10月25日土曜、東京世田谷は明大前のキッドアイラック
ホールにて行なわれた、写真家山本宗補氏と野田雅也氏に
よるトーク・ショーを聞きに行った。
21日から26日までの期間、同会場では、両氏をはじめ世界の
紛争地帯で撮影を続けるフォト・ジャーナリスト達の作品展が、
『生命の現場から:序章』と題して開かれた。(主催JVJA)
野田氏とは初対面ながら、4月に長野で起きた『紅旗ノ乱』の
現場に居合わせた間であり、そのご活躍は、山本氏を通じて
伺っていた。 今回、野田氏は十日程前にチベットのラサから
帰国されたばかりだった。まさに、最新の “チベット事情” を
その目と耳で見聞きし、映像に収めて来た奇才である。

「人民解放軍の兵士に変装するため髪を短くしてました」
そう言いながら、今では伸びた頭に手をやり微笑む野田氏の
佇まいに、温厚な人柄がにじむ。
だが、会場スクリーンに映し出された光景はチベットの真実を
伝えて凄絶だった。淡々として静謐な、死の現場。
往時にはあまたの僧侶が起居した大僧院も今は中国によって
廃墟と化し、銃器を掲げた人民解放軍兵士がわが物顔にラサ
市内を跋扈し、街の小さな裏通りはもとより寺院の本堂にまで
高性能監視カメラが設置され、いたるところに私服のスパイが
目を光らせている。仏の都はいまや魔の巣窟と成り果てた。
中国人の大量移住によってチベット人は経済格差にみまわれ、
生きるため仕方なく、中国企業に職を求める。
しかしそこでもまた雇用差別や給与格差が彼らを待っている。
華僑経営の超高級ホテルで朝礼に参加するチベット人少女の
哀しげな眼差しが、野田氏のレンズを見つめていてた。

慄然としたのは、かつて中国が核兵器開発をしていた工場の
跡地が、チベット人居住区に当てられていたことだ。
残留放射能の濃度など中国政府は調べていない。放牧された
山羊に先天的な身体欠落があっても、それは川の上流にある
錫工場の廃液が原因だ、とシラをきって恥じない。
あきらかに放射能汚染ということは、世界唯一の被爆国民たる
日本人なら小学生でも分かるが、かりに錫でも、大問題だ。

映像の終盤、Bob Marleyの名曲「GETUP,STANDUP」に乗せ、
自由を求めてデモ行進をするチベット人たちの姿が切々と描き
出された。亡命先のインド警察に逮捕連行され、
「Ham loogoon ko shaanti dee doo!」
(ヒンディー語で “我らに平和を” という意味)
と号泣しながら訴えるチベット青年に、思わず涙がこぼれた。

GETUP,STANDUP。 そのメッセージ、確かに受け取った。

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