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『リダクテッド』

映画『リダクテッド/真実の価値』を観に行った。
鬼才、ブライアン・デ・パルマ監督が描く、対イスラム戦争の
泥沼で狂気に走るアメリカ軍兵士たちの物語だ。
これは2006年、イラクで実際に起きた米軍兵士による14歳
少女に対するレイプ殺人と一家惨殺事件をもとに作られた、
いわばセミ・フィクション作品である。
冒頭、内容について説明する監督の文章が、単語一つずつ
黒マジックで塗り潰されていく導入部に、この映画の成功を
確信した。
情報化社会に於ける弾圧とは、静かに、巧妙に、
そして丹念緻密に、一つずつ塗り潰していくものなのだ。
今年の四月、長野善光寺へ駆け付けた日本の青年たちの
義挙も、黒く
塗り潰された。もちろん、イラク市民が直面して
いる
苦難には比ぶべくもないが、 その時青年たちと一緒に
黒く塗り潰された者のひとりとして、怒りと共に
デ・パルマの
世界へと惹き込まれた。

白、黒、ヒスパニック。
イラクに駐屯する米軍兵士には、新兵もいれば百戦錬磨の
古参兵もいる。人種も違えば、入隊以前の前半生も様々。
すさまじい暑さと怠惰な監視任務が終わりなく続くサマラで、
ある日、部隊の曹長が「路肩爆弾」によって爆死する。
路肩爆弾とは、抗米イスラム過激派が一般のイラク市民に
命じ、生活ゴミを装った爆弾を米兵の周辺に仕掛けるもの。
曹長の死が隊内に狂気を引き起こす。
犯行に関与した、と濡れ衣を着せた家族を強制捜査、無理
やり父親を連行する。だが、それだけでは済まなかった。
そのとき見かけた娘を強姦するため、後日、再捜査と称して
再び押し入り、家族全員を惨殺。娘はレイプしたのち頭部を
撃ち抜き、偽装工作で遺体に火をかけた。
兵士たちはこの事件をひた隠しにするが、動画サイトで告発

する者が現れる。 しかし、良心の呵責に耐えかねた伍長の
証言も権力によって握り潰され、結局、闇に葬られてしまう。

アメリカの対イスラム戦争をアジアの視点から描いた作品に
インド映画『KABUL EXPRESS』がある。
これは、タリバン政権崩壊後のアフガンを舞台にした傑作で、
ロンドン、ドバイ、釜山、トロントなどの各映画祭で絶賛された
にも関わらず、日本ではいまだ一般公開されていない。
アメリカ制作の『リダクテッド』が上映出来て、アジアが作った
『KABUL EXPRESS』が公開されないのは、単に興行ルートの
問題だけだろうか。政治的理由もあるのではないか。

黒く塗り潰された真実の価値を、見抜く目を持ち続けたい。

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