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老将、吠ゆ

使い古された言い回しだが、一冊の本との出会いが人生を
変えることがある。
ジャーナリスト、作家:山際素男氏。
氏の著作こそわが人生を大きく変えた運命の書であった。
18年前、ただ仏跡参拝のために初めてインドを訪れたとき、
脳味噌を金属製たわしで引っ掻き回されたようなすさまじい
カルチャー・ショックを受け、帰国後、いわゆる「インド病」に
罹り、インド本を読み漁る中で、山際氏の著書と邂逅した。

白状するがその時まで(坊主になって十年経過していたが)
アンベードカル博士はもとより佐々井秀嶺師の存在もインド
仏教の実情も、本当にまったく知らなかったのである。
『不可触民の道』-インド民衆のなかへ-
読みながら、肌が粟立った。佐々井秀嶺。そんな日本人が
あの国に、この現代にいたのか。なにしろ当時(恐らく今も)、
一般常識では“インドで仏教は衰亡し現在は存在しない”と
思われており、それどころか、本職の僧侶を育成する機関
においても、同様のことが教えられていたのである。
だが、事実は正反対。しかも、インド仏教徒の先頭に立って
獅子奮迅の働きをしているのが、日本人だったのだ。
以来、取り憑かれたように山際氏の著書・訳書を買い集め、
氏の文体が自分の口調に移るほど、どっぷり浸かった。

その山際素男氏と、ついにお会い出来ることになった。
光文社副編集長小松氏のご尽力だ。
約束の時間、奥さまと連れ立って現れた山際氏は、小柄で
飄然とした翁。思わず、仙人、を連想してしまった。
名だたる仏教学者の誰もが成し得なかったアンベードカル
博士『ブッダとそのダンマ』の完訳をやり遂げ、また15年
以上に渡り佐々井秀嶺師を取材、評伝小説『破天』を書き
あげた
人物が、いま自分の隣に座っている。正直、震えた。

先達に教えを乞おう、と日頃の存念を聞いていただく。
日本仏教界が、仏教の故国インドで今まさに仏教が復活し、
その偉業を牽引しているのが同じ日本人であるに関わらず
無関心、無反応な現実を如何にとやせん、と。

「坊主は嫉妬深いんだよ。嫉妬深い奴が宗教家になるんだ。
おっと、アンタも坊主だったっけね。わっはっは☆」

脳天に稲妻が落ちた気がした。
そう、嫉妬なのだ。この自分が仏門に入ったわけも、思えば
絶対に裏切らない恋人、いつでも自分だけを見ていてくれる
恋人を捜し求めた挙げ句、それをブッダに仮託したのだ。
キリスト教とイスラム教の対立も、信仰という名の“愛着”と、
その裏返したる“嫉妬”に起因するに違いない。
「佐々井秀嶺ここにあり!ってことを知らせにゃいかん!」
山際素男氏は気炎を上げた。

この、老将の檄、に応えねばならない。

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