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文士、往く

まずは馬鹿げた話から。しかし事実である。
某寺院へ、その所属する宗派のお偉いさんが来る
ことになった。事前に本山からファックスで送られて
きた“接待マニュアル”を見て、一同唖然。
「室内でのお履物は、御法主様は赤もしくは紫色に
金襴のスリッパ。御同行の方々は緑に金襴のこと。
召し上がられるお飲み物は、緑茶ではなく、紅茶の
アールグレイ(注:熱過ぎずぬる目のこと)」
しかも呆れたことに、スリッパと紅茶の注文のみで、
仏事に関する指示や指導は一切無し。
哀しいかな、これが日本仏教界の偽らざる素顔だ。

そんなセレブ坊主が束になっても太刀打ち出来ない
歴史的偉業を成した文士が、大往生を遂げた。
インド仏教復興運動に密着し、健筆を振るって日本
国内にその現状を伝え、また佐々井秀嶺の存在を
世に知らしめた、無冠の“文士”。まさに字の如く、
『ふみノもののふ』
であった。氏のペンは「文殊菩薩の利剣」だった。
いまはまだ、御遺族が公表に関し思案しておられる
状況なので実名は伏せるが、ワシは氏の最晩年に
たった一度だけ、その謦咳に接する縁に恵まれた。
すべてはブッダの導きであったと感謝している。

訃報を聞いた夜、ワシは取り乱した。
佐々井師の胸中を思うといたたまれなかった。
もし氏と出会わなければ、佐々井秀嶺は日本人の
誰にも知られず、インドの不可触民部落の片隅で、
とっくの昔に野垂れ死んでいたことだろう。
そしてインド仏教復興という人類史に輝く大偉業は
今日の成果を見ることなく頓挫していたはずだ。
すなわち氏の功績は、玄奘三蔵に匹敵するほどの
価値なのである。その氏が、一人静かに往った。

氏が心血を注ぎ完全邦訳した仏教復興の聖典は、
いかに日本の仏教界から無視され、或いは叩かれ
ようとも、必ずや歴史が正当な評価を下す。

氏よ、どうか仏教徒の未来を見守ってください。
南無阿弥陀仏。合掌。

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コメント

こころより御冥福をお祈りいたします。合掌。
法を真に守護せんとするかたには、変化の人は必ず現れる。。南無妙法蓮華経。

>桃青様
豪放磊落、軽妙洒脱、天衣無縫な方でした。佐々井秀嶺師をして、
「あの人は宗教にはぜんぜん関心が無い!」
と言わしめた、文の士でした。
なまじ信心深くなかったからこそ、ブッダの教えの本質に肉薄・直参できたのだと思います。また、だからこそ日本仏教の特定宗派から籠絡されず、懐柔されることもなく、仏教復興の現実を活写することができたのだと思います。
あまたの仏弟子たちを片っ端から論破した、在家の人:維摩詰居士とは、きっと氏のような人物だったのでしょう。とはいえ、もし氏が御在世なら、
「よせやいっ!冗談じゃないよ。抹香臭いのはカンベンしてくれや!」
と、すぐさま否定して、そう仰ることでしょうね。

俗に言う「信心深い人」「教義に明るい人」が慈悲深いとは限りませんね。セレブなお坊さんには肝に銘じていただきたいと思いますが、その肝が無いならもうどうしようもないなあ。

>俗に言う「信心深い人」「教義に明るい人」が慈悲深いとは限りませんね。

おっしゃる通りだと思います。
信心深く、教義に明るいかたが冷酷な言動をされることはよくあります。
私は、それでも、そういうかたからは教義だけは受取ることにしていますが、世間のかたは、言動を見てまともな教義でも「ウソ臭い」と評価されますね。
反面、大げさに愛想を振りまく怪しいひとにはついて行ってしまう。
どちらも法を学び伝えるものは心したいところです。

>HIROMI様
肝(レバー)といえば、差別の中で生きるインド仏教徒は、かの国の食肉流通において、いわゆる「放るもん=ホルモン」しか食べられません。つまり、日本での“ホルモン焼き誕生”の歴史と同じ差別があるわけですね。まぁ、差別者たるセレブはせいぜいフォアグラでもたらふく喰って、てめえも肝肥大になってりゃいいですよ。
アスホール凸(`、´X)

>名無し様
法を伝える、という技術論を仰っておられるようですが、それにしては「世間のかた」の誤りを突くのは、一種の責任転嫁ではないでしょうか。たしかに、『名人芸』を楽しむ知的努力をせず一過性のお笑いで満足する傾向は根強いですが、そんな「朝青龍的荒技」を打倒できない自称正統派にも問題があると思いますよ。いずれにせよ「まとも」を云々されるなら、HNぐらい書きましょうよ。

ひえ~。
名無しさんは、私です。
CookieにHNが残っているのに慣れてしまったので、うっかり名前を入れるのを忘れてしまいました。
にしても、ぼおとして脳髄に和尚様の喝は効きました!
シャキーン!!
これからもよろしくお願いいたします。

>桃青様
あちゃ~!そうでしたか、こちらこそ失礼しました。
なにぶん敵が多い身の上ゆえ、常に臨戦態勢なもんで反射的にパンチを出してしまいました。さて本日、某寺本堂において、文の士を偲ぶ追悼法要を在日インド仏教徒と共にお勤めしました。急なことにも関わらず十名ほどインド人が参加してくれて、無事に終える事が出来ました。

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