2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
フォト

« ファイナル迫る! | トップページ | 大菩薩峠 »

出発点

出発点
出発点
甲斐ノ国、大善寺。佐々井秀嶺師の出発点だ。
かつて苦悩する放浪青年であった佐々井師は、大菩薩峠で
自殺未遂の後、この古刹の境内で行き倒れた。
住職井上秀祐師に拾われ、住み込みの寺男として働かせて
もらう。昼は雑役、夜は自己流ながらも行者顔負けの荒行に
打ち込む佐々井青年を見て、秀祐師の天眼は、余人にあら
ざる“なにか”を感じ取った。
「うちの寺は男の子が三人いるので、君をこれからお坊さん
として、一人前に育てていけるだけの経済的な余裕がない。
高尾山の山本秀順師は、私の兄弟弟子だ。彼に君のことを
預けたいと思う。どうだ、行ってくれるか?」
佐々井師の『男一代菩薩道』は、大善寺から始まったのだ。

「子供だった僕らには、いい遊び相手だったんだけどねえ」
現住職が笑って言う。
「でも、近郷の村人たちは、みんな気味悪がってたよ」

当然である。突如現れた痩せこけて鬼気迫る若者が、毎晩
山上や滝の下でわめいてるのである。ウロ覚えの般若心経
ならまだしも、鳥とも獣ともつかぬ奇声を、“うおぉぉ~っ!”
“きえぇぇ~いっ!”と漆黒の闇に轟かせた。
「がはは。いや、あれは、気合いの稽古をしとったんだよ」
インド仏教徒一億人の指導者は照れ笑いする。

感動の瞬間もあった。
驚くべきことに、現住職ご夫妻は四十有余年前佐々井師が
大善寺を旅立つ時置いて行った私物を、今日まできちんと
保管していてくださったのだ。
大きな箱が三つ。いつ帰るか分からない、帰って来ないかも
知れない風来坊の忘れ物を、完璧な保存状態で守っていて
くださった。・・・なんと素晴らしい人たちだろうか!

「これであたしの大事な務めがひとつ済みましたわ」
現住職夫人の言葉に、胸が熱くなった。

« ファイナル迫る! | トップページ | 大菩薩峠 »

仏教・宗教全般」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/503578/45198739

この記事へのトラックバック一覧です: 出発点:

» 介護士の求人なら [介護職の求人]
介護職の求人情報を掲載しています。 [続きを読む]

« ファイナル迫る! | トップページ | 大菩薩峠 »