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遠い夏休み

夏の思い出、といえば大学時代にバイトしてたプールの
監視員。二カ月の夏休み、四年間ずっと監視してた。
だが芸能人が水泳大会やるようなメジャー施設ではなく
市民プールだったので、客は近所のガキばかり。
垂らした青っ洟を側溝に追いやって水で流しながら仮想
ボートレースに興じるおぼっちゃまやおじょうちゃま達に
囲まれて、青春の1ページを過ごしたものです。
さて、監視員
が乗っているハシゴがついた椅子みたいな
物件ね、今のはいろいろと改良されてるんだろうけれど、
昭和のやつは鉄製で、頭上は簀の子一枚、座る部分は
板という、うっかりMに目覚めそうなシロモノでした。
酷暑のなか肘掛けは鉄が加熱して触れず、簀の子の間
からは真夏の強烈な日差しが容赦なく差し込み、臀部は
五右衛門風呂の底みたいな状態が、毎年二カ月。

そんな、青空系で開放型の蟹工船な労働環境でも楽しみ
はございました。
ビキニのお姉ちゃん?いえいえ、大声タイムです。
市民プールですので皆様の健康管理のため一時間毎に
5分~10分ほど、全員を水から上げて休憩させる規則が
あったのです。その際、監視台からメガホンで、
「はぁーい!みんなあがってぇーっ!」
と、いたいけなお子さま達にご指示申し上げるんですね。
これが、蟹工船のルーティン・ワークの中ではそれなりに
ストレス発散というか、気分転換になっておりました。
生来、抑制の利かない大声。のちに声明(しょうみょう)で
禄を食む身になろうなどと当時は予想だにしておりません
でしたけれど、今もお笑い芸人がツッコミに用いる黄色い
プラスチック製のメガホンを、あたかもマイクのように構え
全身全霊を込めてシャウトしたものです。

それがある年の夏、ヒンシュクを買った。
「子供が声を怖がってる。あのひとを辞めさせて欲しい」
と管理事務所へ匿名の苦情電話が。
クビになったらバンドの合宿費に困る、自粛すべきか?と
悩んだ時、施設長で水道局から天下りした元帝国軍人の
おじさんがワシをかばってくれた。
「怖がるのと溺れるのと、どっちを選ぶかってことだよ」

夏休み。プールではしゃぐ子供達の嬌声が風に運ばれて
来ると、あのおじさんのことを思い出す。
・・・平成元年に亡くなられたから、来年で二十三回忌か。

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コメント

問題は何人が溺れる方を選ぶか?ですね(笑

>ひろ様
それはシャレになんないって!(@Д@;

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