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『反骨のブッダ』

  • 高山龍智: 『反骨のブッダ』インドによみがえる本来の仏教(コスモトゥーワン出版)

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『必生』裏話②

インタビューは当初、編集氏から託された約五十項目の
問いに、一問一答形式で行なう予定だった。
ところが蓋を開けてみればそうはいかない。一問すれば
百答してくれる佐々井師に、時間はどんどん過ぎていく。
(そうか、印度式なんだ)
インド人は議論好き。ひたすら大声で長時間、言葉数の
多さを競い合うような習慣がある。そんな御国で四十年
以上も生活してきた佐々井師に、日本式の一問一答を
期待するほうが間違っていた。
とはいえ少年期から青年期の苦悩時代については師の
思想形成に大きく関わっているため、これからの展開を
考慮して、思う存分語っていただいた。
聞き手ものめり込んしまい、つい本来の質問を忘れて、
「・・・ん? なんの話だった?」
と、逆に佐々井師から進行を促される場面もあった。

「今度の本は私の内面を書いてもらいたい」
インタビュー二回目、佐々井師が言った。
たしかに、それまで師を紹介した文章や写真、映像等は
佐々井秀嶺という“巨人の功績”、すなわち外面を伝える
ものがほとんどであった。
無論、徒手空拳で異国の最下層民衆に溶け込み、その
国の閣僚まで勤めた人物だ。外面だけでも意義がある。
まして、いまや日本の総人口より多いとも言われるインド
仏教徒を率いる“元日本人”の存在が、故国の同胞には
ほとんど知られてない、という事実を省みれば、とにかく
まず知ってもらうことが先決であった。

三回目。聞き手から大幅な路線変更を提案した。
問答ではなく、佐々井秀嶺師の一人称で、現代日本人に
語りかける形式にしてはどうか、と。
五十問の答えを再構成し、聞き手の言葉を消して、読者
と一対一で法話しているようなかたちにしたい、と。
「うん。それがいい。そうしなさい」

四回目。佐々井師が体調を崩した。
「頭がボーッとしてるが、時間がもったいない。やるぞ!」
師は決して健康体ではない。むしろ満身創痍である。
だが常人と違うのは、辛くなればなるほど、なにかが燃え
上がり、凄まじいエネルギーを発揮する点だ。

五回目の夜。「アンタも疲れたろ。ご苦労さん」
こうしておよそ20時間以上に渡るインタビューは終了。
インド民衆のため多忙を極める佐々井師の、激務の合間
を縫って行なった録音は、結局、全体で三週間を要した。
<③へ続く>

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