2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
フォト

『反骨のブッダ』

  • 高山龍智: 『反骨のブッダ』インドによみがえる本来の仏教(コスモトゥーワン出版)

« 『RAAVAN』 | トップページ | 『必生』こぼれ話④ »

『必生』こぼれ話③

<第三回 ハヌマーン>
東京国際映画祭にインドから参加した『RAAVAN』の元
ネタとなったヒンドゥー教神話「ラーマーヤナ」。
この神話、インド仏教と浅からぬ関係があるのです。
ややこしい話ですので大雑把にくくりますとヒンドゥー教
三大神:維持神ヴィシュヌの七番目の化身がラーマで、
このラーマを主人公とした物語が上記の神話です。
ちなみにお釈迦様は九番目の化身、ということになって
いますが、これはヒンドゥー教徒の勝手な言い分です。
またラーマの聖地とされるアヨーディアで起きた事件に
ついては『必生 闘う仏教』集英社新書 119頁および
122頁をご参照ください

神話の粗筋はすでに紹介したので繰り返しません。
さて、インド仏教復興運動と関わりがあるのはラーマに
使役された、猿神ハヌマーンのほうです。
この孫悟空のルーツともいわれる超能力ザルゆかりの
地が「ラームテク」と称されるヒンドゥー教の聖地であり、
その下には、大乗仏教の重要な遺跡が覆い隠すように
埋められているわけです。(同書137頁参照)
神話世界で“魔族”と呼ばれる人々は征服された先住民
という例。それに、かつて“不可触民”と蔑まれた人々が
ラームテク(=大乗仏教発祥の地マンセル遺跡)に近い
ナグプールの民衆であることを考え合わせると・・・。

しかもハヌマーンは、神であっても猿なのです。
理想の人間像として登場するわけではありません。
神話が、文字どおり古代史の「神話化」であるなら、そこ
には侵略者(神)に屈伏して手先(猿)となった被征服民、
という記号さえ読み取ることも可能なはずです。
92年12月アヨーディアで起きた事件で、直接破壊活動に
携わったヒンドゥー教徒は、おもにシュードラ(農奴)階級
だったのです。佐々井秀嶺師は、
「あれはハヌマーンにやらせたのと同じやり方だ!」
と、ひときわ声を荒らげて語りました。
アヨーディア事件に限らず、仏教徒弾圧についてもその
先鋒をやらされるのは、低位カーストの人間です。
立場の弱い者に、さらに弱い者を叩かせる巧妙な手口。
差別構造に君臨する輩は決して手を汚さない、と。

以上も、これだけで専門的な研究論文一本分にも相当
するため、割愛いたしました。

« 『RAAVAN』 | トップページ | 『必生』こぼれ話④ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

はじめておじゃまいたします。
『必生』拝読しました。たくさんの人に読んでほしいと心から思います。
部落解放運動に身を投じ投獄もされた僧侶である植木等さんの父を思い起こしました(こちらも本でしか存じ上げませんが)。

裏話こぼれ話も興味深く、これからも読ませていただきます。ありがとうございました。


>nana様
此の度は弊書を御高覧賜り厚く御礼申し上げます。
植木徹誠師の言葉、
「自分は被差別部落出身でないと思うことが差別だ」
まさにこれが本質だと思います。
慈悲、とは上から垂れるものではなく、痛みの共感という意味なのですから。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
合掌九拝。
『必生 闘う仏教』編者:高山龍智

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/503578/49859019

この記事へのトラックバック一覧です: 『必生』こぼれ話③:

« 『RAAVAN』 | トップページ | 『必生』こぼれ話④ »