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『必生』こぼれ話⑥

<第六回 臥龍の系譜>
佐々井秀嶺師が育った岡山県山間部には『平家落人伝説』
がいくつか残されている。
貴人流離譚の類、と一括りにすればそれまでだが、正史に
漏れたいにしえの敗者の怨嗟は、時に人間の真実を語る。
なぜなら歴史は、いわゆる勝者(武力において勝った者)が
記す独善の創作物語だからだ。
敗者弱者に寄り添う師の精神世界において、出雲族、平家、
また古代インドの被征服民ドラヴィダ族は、一連の繋がりを
もっている。これは、下手をすればトンデモ偽史に化けかね
ない話だが、その底流には佐々井師の慈悲心がある。

「子供のころ父親について山仕事に行ったとき、少し開けた
ところで急に立ち止まった父が、こう言ったんだ。
“ここは源氏射場といってな、その昔源氏の追手がここから
向こう側の崖に向けて矢を射掛けた場所なんだ”
そして、反対側の断崖を指差した。見ると頂上あたりの岩が
赤く染まってる。平家の落人が流した血が、怨念と共に染み
ついた、そんな言い伝えがあったんだな」
清盛が信仰した厳島の祭神は、蛇体の弁財天といわれる。

佐々井師の思想には、“龍蛇(ナーガ)”が深く関わっている。
(『必生 闘う仏教』99頁)
平家物語:壇ノ浦の章で、幼い安徳帝が二位尼に訊く。
「朕は何処へ参るのか」
「弥陀の浄土へ。波の下にも都がございます」
京へ帰るのでなく来世へ行くのです、と入水して果てる。
さて、海底にある都といえば龍宮城。かなり強引ではあるが、
それはナグプールを意味するのだ、と佐々井師。
誤解のないように補足するが、龍蛇として表現される魔族は
地に臥した敗者を指して勝者が謂ったものだ。
出雲のオオクニヌシも、本来の名称オオナムチ(大穴持)が
表わす如く、地に(洞窟に)潜む蛇体神である。

龍宮城、龍蛇神、後進勢力に滅ぼされた先住民・・・。
みずから「平家落人の末裔」を称する佐々井師にとり、これら
敗者の系譜こそが、生々しい人間の真実なのだ。
すべては、痛みに共感するがゆえに。


これもまた専門的な研究論文一本分に相当するため、割愛
致しました。

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コメント

めちゃめちゃおもしろい話ですねsign01
蛇は神様だったのに、キリスト教では悪者
にされてしまって・・・とか、西洋と東洋の
比較もありますよねcatface
是非、本一冊作っていただきたいです。

>yunkito様
そーなんですよnote凄く面白い話flair
旧約聖書でアダムとイヴを誘惑した悪魔も蛇で表わされますが、「知恵の実を勧めた」という点になんかとても深いメッセージがあると思うんですよね。
日本神話の八岐大蛇も、退治された後にその尻尾から剣が出てきた(鉄器文明=知恵)と考えると、そこに歴史の真実が垣間見えるようで興味津々up

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