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天竺よ何処へ

ここ十年ほどインドの核開発が加速している。
かの国をいささかなりと知る者として、またなにより原発
事故の当事国民として、思うところを述べたい。

福島第一原発の事故を受け、各国で〝脱原発〟の声が
高まりつつある中、おとなりの韓国がインドと原子力開発
協定を結んだ。
「韓国の安全な原発発展の姿が非常に印象的」
(インド:パティル大統領)
「両国の原子力協定には大きな意味がある」
(韓国:李大統領)
果たしてどんな印象だったかは知らない。或いはそれは
インドにとって、英国からの分離独立以来ことあるごとに
対立し、たびたび干戈を交えてきたパキスタンの核開発
パートナーが北朝鮮、という「大きな意味がある」のかも
知れない。
原発建設に際し、インドの場合は、技術保有国に敷地を
割り当て、相手国が諸般の妥当性(環境等への配慮とい
うがつまり儲かるかどうかである)を検討したのちに建設
する、という建前。ロシア・米国・フランスはすでに敷地の
配分を受けている。

さて、その中のフランスだが、受注したのはアレヴァ社。
インド西部マハーラーシュトラ州のジャイタプールで建設
計画が進められているのは、『欧州加圧水型原子炉』。
これを6基(計およそ990万キロワット)建てる予定だ。
マハーラーシュトラ州の政府も、この計画を支援している。
だがインド原子力委員会が開いた地元住民説明会では、
8000人の参加者のうち、支持を表明したのはたった一人。
しかもその人物はザミーンダール・カースト(地主階級)に
属し、現地から遠く離れた場所に暮らす者だった。

またこの地域にはイスラム教徒の漁労民が多く、5000隻
以上の漁船が操業している。
ちなみにヒンドゥー教徒が圧倒的多数を占めるインド社会
においては、「不殺生(ahimgsaa)」を宗教的徳目の第一に
掲げる信仰に基づき、漁労や狩猟等に携わる人々を差別
するという、なんとも〝殺生な〟しきたりがある。
そのため差別を逃れてイスラム教やキリスト教や仏教へと
改宗するのだが、ヒンドゥー教徒の支配層との経済格差は
なかなか改善されない。

・・・貧富の差と、宗教コミュニティー間の対立。
ジャイタプールはアラビア海に面し、パキスタンの対岸だ。
そんな状況のインドが、韓国と原子力開発協定を結んだの
である。福島第一原発が事故を起こした、この年に。

率直に言って、憤りを禁じえない。

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