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南天の白蓮(7)

南天の白蓮(7)
南天の白蓮(7)
南天の白蓮(7)
9月1日。河野太通老師率いるラック(RACK)使節団
一行は、かねてからご支援下さっている無医村地区
カンダサオリにある医療施設を視察された。
僻地への悪路、しかも雨季の折柄、難儀な道中では
あったが、なんとか無事に辿り着いた。
施設前にはテントが張られ、地元仏教徒による歓迎
の支度が整えらていた。彼らは何日も前から泊まり
がけで、あれこれ準備していたのである。

僻地医療。これは、先進国とそうでないとに関わらず
世界人類が共通に抱えた問題だ。わが日本とて例外
でないことは、今年の大震災であからさまとなった。
医師を、薬を求める人々との間の、インフラ整備。
インドにおいては、そのインフラストラクチャーを阻む
大きな壁として、カースト制度がある。
人的、物理的、経済的な問題に加えて、ヒンドゥー教
による差別問題が、患者に突きつけられるのだ。
かつて、若き日の佐々井秀嶺師が医療施設の必要
を痛感させられたエピソードの一つを、ご紹介する。

ナグプールで活動を始めて間がないころ、自転車を
漕いで僻地を回っていた青年僧:佐々井師。
とある村はずれの路上、赤ん坊を抱いた若い母親が
泣き叫んでいる。どうした?
「この子が病気なんです!助けて下さい」
見ると、枯れ枝のように痩せた母の腕の中で、すでに
赤子は息絶えていた。蠅がたかり、小さな口の端から
蛆虫が這い出している。
いや、もう亡くなってる、供養してやらねば。と云うと、
「生きてます!あたしらが不可触民だから医者が診て
くれないだけなんです!診せれば生き返ります!」
彼女は正気を失っていた。
・・・よしっ、わかった。一緒に医者を探してやる。
佐々井青年は遺体を抱いた若い母を自転車の後ろに
乗せ、炎天下、彼女の気が落ち着くまで走り回った。
(ちきしょう!ばかやろう!)
ペダルを漕ぎながら、怒りがこみあげてきた。
(こんなばかなことがあってたまるか!)
涙が溢れて止まらなかった。

すまない、お医者さん見つからなかったよ。
夕暮れも近付いた頃、自転車を止めて親子を降ろし、
佐々井青年は頭を下げた。
去っていく親子の後ろ姿が、胸をえぐった。

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