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『白い道』

Shiroimichi_4
懐かしい映画だ。俳優の三國連太郎氏が原作・脚本・
監督の三役を勤めた、若き日の親鸞を描く作品。
開祖伝モノにありがちな神格化を徹底的に排し、常に
汚れた法衣姿の善信(親鸞)は、迷いに迷い、揺らぎ
ながらも最下層民衆と共に生きていく。
善信夫妻の夜の営みをイメージさせるカットや長女が
初潮を迎えるシーン等、あくまで「人間の物語」として
活写されている。

さて今回、改めて本作を紹介した理由は、この映画が
あまりにも『3.11』以後の日本社会を予見していたかの
ように思えるからだ。
権勢におもね、金と保身ばかりを考える者らによって
弱者が軽んじられ、いのちまで奪われる。
映画冒頭、ツツガムシ駆除の名目で善信とその仲間
が暮らす村は焼き払われ、辛うじて生き延びた人々と
共に、善信夫婦は未知の土地へ移住する。
だが迷信と因習に支配されたムラ社会の中で、善信
夫婦の幼子も病死。次々と消えてゆくいのち。
老婆と二人暮らしの鉱山労働者の青年は、世間から
“破戒僧”と叩かれる善信に心を寄せるが、その彼も
爆発事故で死ぬ。善信は青年の遺体を背負い、鉱山
の主に対決を挑む。
やがて、善信の影響力に目をつけた土地の権力者が
懐柔策を持ち掛けるが、当然、無視。
しかし、己の信念を貫こうとする善信と妻のあいだに
亀裂が生じ始める。善信は子供の将来を考え京都の
知人に預けようとするが、妻は反対。
「この子と別れては!」
泣きながらわが子を抱きしめる妻に、善信は、
「この子が必ず憂き目にあう」
と、引き離す。その結果、妻も善信のもとを去る。
そして…。

あとはレンタル等で実際にご鑑賞いただくこととして、
どうだろう、ツツガムシ病を放射線被害、鉱山爆発を
原発事故に置き換え、また避難移住者が抱える苦悩
という面から、この映画を見直すことは、思い込みが
過ぎるだろうか?

最初の村が焼き討ちに遭うシーンで、善信は吠える。
「よせー!人殺しは、よせー!」
今この台詞こそが、もっとも叫ばれるべき時だと思う。

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