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『反骨のブッダ』

  • 高山龍智: 『反骨のブッダ』インドによみがえる本来の仏教(コスモトゥーワン出版)

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必ず生きて

必ず生きて
必ず生きて
「助けて下さい、助けて下さーい!」
青年僧は叫んだ。
時は1963年9月、場所は晩夏の乗鞍岳。
僧の名は佐々井秀嶺。当時28才。
恋に悩み求道に行き詰まった彼は、自死の覚悟で
山頂へ至った。ちなみに自殺未遂はこれで三度目。
何事も突き詰めねば納得しない気性の佐々井青年
にとって、生きること即ち苦悩との闘いだった。
乗鞍の頂きで彼を待っていたものは、肌を突き刺す
寒さ。死の予感。自殺するつもりでそこに至ったが、
肉体の苦痛と現実の危険が青年の生存本能を呼び
覚ました。気を失ってはいけない、と無我夢中で石を
つかみ、何度も頭を殴った(この時の傷跡は77才の
今もひたいに残っている)。怖い、死にたくない。
「神さま、助けてくれー!」
僧でありながら異教の神に縋ろうとして叫び続けた。
やがて、彼は気付く。俺は一体、神というものを見た
ことがあるのか。ない。そしてついに天地宇宙と一つ
であるおのれに気付く。彼は立ち上がって叫んだ。
「勝った、勝ったぞー!」
(集英社新書『必生 闘う仏教』39頁~)

死が、危険が、眼前に迫っていない状態で死を想像
することの甘さを物語るエピソードだ。
気にしなければ気にならない、いのちの鼓動。
享楽の日々は苦悩を紛らわせてくれる。だが確実に
来るべき瞬間は近付いている。
さて今、われわれ日本人が直面している現実の危険、
それは言うまでもなく、放射能だ。
目に見えないから、危機感も認識されにくい。加えて
震災体験の生々しい記憶が、重い現実から目を逸ら
させる。また、それに添うように、お茶の間メディアは
思考の冷温停止状態を“作り出そう”とする。

あきらめれば、苦悩もない。
しかし、未来を生きる者たちのため、今を生きている
われわれが生存本能を呼び覚ますべきではないか。
未来の者たちが、勝ったぞ!と叫べるように。

※写真上は乗鞍から生還後タイ留学を経てインドへ
渡った頃の佐々井青年(『Bhaarath』誌表紙)。
写真下は、現代の乗鞍岳(撮影時:冬)

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