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2012年12月

樹望(きぼう)

樹望(きぼう)
樹望(きぼう)
樹望(きぼう)
日本という樹を枯れさせてはならない。
大震災を経てもなお屹然と立つ大樹に育てていく
のは、木陰に安らぐ者=日本人の務めである。

仏教発祥之国インドはビハール州ブッダガヤーに
建つ釈尊成道の聖地:大菩提寺境内に青葉を繁ら
せる菩提樹。修行者ゴータマが、
「我 正覚を得ざれば この座を立たじ」
と意を決して樹下に結跏趺坐し、十二因縁の順逆
を観じて無上正等覚を成じた根本道場である。
云うまでもないが現在の木はブッダ在世時のそれ
ではない。後世、自然に枯れ、あるいは人為的に
伐採、焼却され、そのたびに植え替えられて来た
ものだ。
思うに今日まで菩提樹が辿った道のりは、人間の
性(さが)を象徴しているのではないか。
信者には聖樹であっても、他の者には単なる植物、
また異教徒にとっては悪魔の宿り木ともなる。
だが、樹は何も語らない。黙ってじっと見ている。

「俺は“花咲爺さん”だよ、ガッハッハ!」
そう言って佐々井秀嶺師は笑う。
枯れ木に花…、仏教・義理人情・浪花節…。
ブッダの国に白蓮の花を咲かせ続けて、約半世紀。
「そりゃあ迷ったさ、何度も何度もな」
今や“インド仏教最長老”の佐々井師も、かつては
悩みに悩み、もがき苦しんで文字通り満身創痍に
なりながら生きてきた。
「本当に辛い思いをしてる人の前では励ましなんて
嘘っぱちでしかないよ。自分が本心では迷ってても
ドンと来い!って胸を張ってなきゃ。あと、偉そうな
理屈や説法なんて何の役にも立たん。辛い思いの
さなかにいる人を笑わせることのほうが、仏の道に
かなってるんじゃないのか?」
インドの被抑圧階級(Dalit)いわゆる“不可触民”と
共に生きてきた佐々井師の、浪曲菩薩道。

“Prem, Shanti, Ahimgsaa”(愛と平和と非暴力)
アショーカ王の治世宣言である。
日本という樹に、この花を咲かせようではないか。

【写真上】2012年6月、東北被災地の巡錫を終えて
帰途に就く佐々井師(成田空港内にて)。
【中】ナグプール市内の医療施設中庭にて植樹祭。
菩提樹の若木を植える佐々井師。
【下】ダリットの子供達の笑顔。大輪の花。

『ASOKA 』

『ASOKA 』
ここに紹介するインド映画は、今年日本で公開され
評判を呼んだ『RA.ONE』のコンビ、Shahrukh Khanと
Kareena Kapoor共演による古代史スペクタクル巨編、
『ASOKA』 (2001年)。
インドに仏教を弘め、やがて世界宗教となる最初の
きっかけを作ったマウリヤ朝皇帝アショーカ(阿育王)
の若き日を、史伝をもとに、時代を超えた人間ドラマ
として描き出した長編大作だ。
カメラマン出身の監督Santosh Sivanは随所に近代
アートを想起させる映像を織り込み、また戦闘場面
ではインド古式武術のカラリパヤットゥを殺陣に取り
入れるなど、細部にこだわった演出をしている。
実質的な興行成績において、インド本国では国民の
歴史先入観が障りとなり、残念な結果に終わったが、
アメリカやヨーロッパ諸国では高い評価を受けた。
これについて主演のシャールク曰わく、
「ASHOKAの“H”をタイトルから抜いたのは、History
とは違うんだ、って意味なのさ」

【あらすじ】
次代を嘱された王子アショーク(ヒンディー語発音)は、
敵勢力を片端から葬り去り、版図を拡大していった。
しかし後継者争いのいざこざから故国マガダを出奔、
カリンガ国へと辿り着く。王女カウルワキ(カリーナ)と
出会い、二人は結婚する。幼帝アーリヤは彼を兄の
ごとく慕い、共に暮らすが、ある日マガダから使者が
来てアショークはカリンガを去る。
その後カリンガでは幼帝を排して権力を握らんとする
輩がカウルワキとアーリヤの抹殺を企てるが村人が
身代わりとなって未遂に終わる。カリンガ異変の報に
急遽駆け付けたアショークは彼女が死んだと思い込
まされる。失意の中ウッジャイニ国との戦争に赴いた
彼は、深手を追って、仏教寺院へ担ぎ込まれる。
心優しい娘デヴィの看護により快復したアショークは、
彼女と結ばれる。だが新妻をマガダへ連れて帰ると、
大王チャンドラグプタは、にべもなく吐き捨てた。
「仏教徒の娘など家族にできない」
愛する母の死、大王の崩御…。アショークは覇道の
鬼となって、天下統一を目指す。
最後まで抵抗したのはカリンガ。老人や女子供まで
武器を手に降伏を拒む。アショークは大軍を率いて
殲滅戦に乗り出す。カリンガ勢を指揮するのは生き
延びたカウルワキ王女。あまりにも残酷な運命。
圧倒的な兵力差。マガダ軍の大勝。
屍累々たる戦場でアショークとカウルワキは再会。
アーリヤも物陰から姿を現す。
「もうどこへも行かない?お伽話の続きしてくれる?」
ああ、行くもんか。答えたアショークの前で、アーリヤ
は倒れる。幼い背中には無数の矢が刺さっていた。
…アショークは武器を捨て、慈愛と平和と非暴力の
仏教精神による治世を宣言する。

これほどの名作が“仏教国”日本で知られていない
のは文化的損失と考え、ボリウッド・ブームの昨今、
あえて旧作を取り上げた次第。
歌とダンスは以下のURLをご覧いただきたい。
「San Sanana」

http://youtu.be/GLorpw5EmUc
「O Re Kanchi」
http://youtu.be/2CBOURTJqbo

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