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SHADI(結婚)

SHADI(結婚)
SHADI(結婚)
SHADI(結婚)
或る朝、ナグプールの僧房にて。大先輩のインド僧
Nagagosha(龍鳴)師が拙のところに来て言った。
「今日、本堂で結婚式がある。貴方も一緒にお勤め
してくれないか。新郎新婦の良い記念になる」
如何にも“インドらしい”唐突な話。佐々井秀嶺師に
判断を仰ぐと、破顔一笑、
「いいじゃないか!めでたいことだ。ガハハ☆」
そう言われても、日本で仏前結婚式を勤めた経験は
あるが、お釈迦様の国で、しかも先祖代々数千年の
長きに渡るヒンドゥー教のカースト差別をはねのけ、
自分達の意志で仏教に改宗した人々の、華燭の典。
「どうした?お祝い事なんだぞ」
佐々井師がギロッと睨む。…よしっ、腹をくくった。

龍鳴師は声明の名手。彼ほどの美声とハートを聞か
せる僧侶は、インドはもちろん日本にもいない。
Vandana(勤行)を唱和していると理屈抜きでブッダの
体温が伝わってくるように感じられた。
新郎新婦が互いに花輪を掛け合い、そして合掌礼拝
し合う。経典にいう「仏々相念」である。
次いでMangal(吉祥偈)が唱えられる中、新郎新婦は
それぞれの腕に白い木綿糸を三周巻いて結び合い、
誠実と三宝帰依を誓う。その間、親戚や友人たちが
マリーゴールドの花を投げて祝福する。
あとは記念撮影と、万国共通“ヒューヒュー♪”大会。

さて、インドにおける圧倒的多数派たるヒンドゥー教
の結婚式と大きく違う点は、まず新郎新婦が白装束
であること。白は、ヒンドゥー教では喪服の色とされ、
花嫁衣装は赤を基調とした金襴のサリーが一般的。
しかし仏教では、白蓮・白法・白道などブッダを象徴
する色なのである。
また、ヒンドゥー教の結婚式では新郎が頭に巻いた
ターバンの布の端を長く延ばし、新婦の体に巻いて、
夫に従い妻が護摩の火をめぐる(夫婦の主従関係を
神に誓う)儀式があるが、仏教にはない。
それは、仏教復興運動の先達:アンベードカル博士
の教えにのっとり、男女平等に徹しているからだ。

「日本僧の貴方から若い二人の門出に何か一言」
ビデオを構えた親戚が、いきなりムチャぶり。
ええっ?お袋と給料袋と堪忍袋、みたいなことか?
「ム…、ムバーラク・ホー」(おめでとう)
さらなる名言を期待する雰囲気。…ええい、これだっ。
「ジャイ・ビーム!」

はからずも出席者一同の唱和となって、大団円。
拙は、心の中で“三本じめ”をした。

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