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2013年2月

スラム・ブッダ②

スラム・ブッダ②
スラム・ブッダ②
スラム・ブッダ②
日没を待って、またダラヴィへ。言うまでもないが夜の
スラム街は危険だ。闇が深い淵を覗かせる。
8時からの礼拝に間に合うよう“印度時間”に合わせて
ゆっくりと向かう。今度は袈裟を着たままだ。
初老のイスラム教徒があごをしゃくって拙を示し、側に
いた若者へ何か言った。一瞬、緊張が走る。
「ゴータム・カ・ヴィハール?」
イスラムの若者が、仏教寺院へ行くのか、と問う。
そうだよ、と答えると携帯電話を取り出して誰かを呼ぶ
様子。ほどなく昼間の仏教徒青年が迎えに来てくれた。
二人は親友だったのだ。

時間前だというのに、みんな集まって待っていた。
子供達がまたきゃあきゃあ騒ぎ始めたので、指を唇に
当て「チュプ・カロー(静かにね)」。
御本尊に灯明を捧げ、線香を焚く。パーリ語勤行。
参拝者全員が唱和する。子供達も元気いっぱいに声を
はる。スラム街の一角でブッダは確かに“活きて”いた。
読経後、拙の説法。題材は子供向けに「月の兎」。
インドでも『ジャータカ(前生譚)』でお馴染みの物語だ。
大人も興味を持つよう国際問題なども絡めて話す。

熊(強権。アメリカ)と、キツネ(狡智。アルカイーダ)。
そして、力も知恵も劣る兎(私達)…。
だが兎には、強く温かい不屈の愛があった。
「大事なのはマイトリー・カルナー(慈悲。友愛)なんだ」

その後の座談会。あの青年が言った。
「俺達ってさ、少数派だからって、なんかいつも遠慮して
ないか?“ナマステ”を言う時はわざと大きな声を出して
多数派に紛れ込み“ジャイ・ビーム”を言う時はちょっと
控え目になる、みたいにさ。それって、やっぱ変だよ!」

“悠久の国”インドの宿痾:カースト制度。
この問題に触れさえしなければ、経済躍進するアジアの
大国は、満面の笑みを見せてくれるだろう。
しかしそれは、底辺で暮らす『仏の子』を見捨てることだ。

拙訳、薬師真言(オンコロコロセンダリマトウギソワカ)。
「共に歓喜せん。虐げられし我がはらからに幸あれ」

YouTube音楽動画:【Buddham Namaami】
https://www.youtube.com/watch?v=7QoKVSydnjs&feature=youtube_gdata_player
ボリウッドの売れっ子プレイバック・シンガー、SHAANが
歌う現代インド仏教のPOP ROCK。

スラム・ブッダ①

スラム・ブッダ①
スラム・ブッダ①
スラム・ブッダ①
インドの大都市ムンバイ(旧ボンベイ)。そこにはアジア
最大といわれるスラム街、ダラヴィがある。
迷路のように入り組んだ路地。汚辱と異臭の地下世界。
その一角に、現代インド仏教徒の暮らすエリアがある。
およそ70世帯余。彼らの多くは、かつてヒンドゥー教の
チャンダール(被抑圧階級。音写:栴陀羅)のマータンガ
(最下層民。音写:摩橙伽)であった。
すなわち、日本の真言宗で唱えられる薬師如来の真言、
「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」
その、せんだり・まとうぎ(女性詞変化のチャンダーリー、
マータンギー)が、いま彼ら自身の意志によって仏教に
“戻って来た”のである。

「ジャイビーム・ワーラー、カハン・ヘ?」
(仏教徒はどこにいますか?)
イスラム教の緑の旗が軒並みたなびく路地。通行人に
聞いても要領を得ない。指差された方角を見ても緑の
旗しか見えない。あちこちから鋭い視線を感じる…。
ここでインド僧の袈裟は無用なトラブルを招きかねない、
と判断して、こっそり外す。
やがて突然視界が広がり、紺地に白く法輪(チャクラ)を
染め抜いた仏教徒の旗が目に飛び込んできた。
『ブッダジャン・パンチャヤット』 (仏教徒自治会)
薄汚れた壁にヒンディー語で大書してある。ここだ。
袈裟を着ると、遊んでいた子供達がいっせいに歓声を
上げて出迎えてくれた。
「バンテー・ジー!」 (わあ☆お坊さんだあ♪)
すぐ遊びに加わる。スラム街の片隅で追いかけっこ。
ガキんちょパワーに息があがった頃、ひとりの青年に
挨拶された。話すと、夜八時からみんな集まって礼拝
するという。「来てくれますか?」「もちろんだよ!」

再び子供と遊ぶ。女の子がボリウッド・ダンスを真似て
踊る。それに合わせて一緒に歌を唄ったら、先ほどの
青年が呆れ顔で笑い出した。

仏教語『於泥華(おでいけ)』=ハスのこと。
真っ白な汚れない蓮の花は、泥沼の中にこそ咲くのだ。
スラム街に、仏心の花。

YouTube動画【ジャイ・ビームの意味とは?】
(英語字幕付き)

https://www.youtube.com/watch?v=fmsdTFEky-k&feature=youtube_gdata_player

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