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『DAMINI』

『DAMINI』
今回紹介する映画は93年のボリウッド大ヒット作、
『DAMINI』(ダミニー。「雷鳴」)
主演女優:ミーナークシ・シェシャドリー。
この旧作が、昨年末インドで再び注目されるように
なった。理由は12月の16日、首都デリーで23才の
女性がバスの中で集団暴行を受け、重傷を負わさ
れたのちに死亡した事件。犯人達は暴行後彼女を
車内から投げ捨てて、遺棄した。
これらの経緯が本作品で描かれた展開に酷似して
いたからである。

【あらすじ】
庶民階級の娘ダミニーは財閥の御曹司に見初めら
れ結婚。慣れない上流社会に戸惑いながらも持ち
前の素直さと夫の愛に支えられて幸せに暮らす。
下女のウルミーは自分を差別しない“若奥様”を姉
のように慕う。
そんな或る年の春祭り、騒ぎに紛れて義弟と不良
仲間がウルミーを集団で暴行する。現場に駆け付
けたダミニーだが時既に遅く、義弟らはウルミーを
車で連れ去り、路上へ放棄する。
家名を重んじ世間体を憚り、カースト差別もあって
なにごとも無かったことにしようとする舅・姑と夫。
ウルミーは病院内で不審死を遂げる。
その日から、ダミニーの孤独な闘いが始まった…。

全編はYou Tubeでご鑑賞頂くとして、お気付きの
ように昨年12月の凄惨な事件とあまりにもよく似て
いる。そして、インド民衆が本作に改めて注目した
のは主人公ダミニーが傷つきながらも弱者の為に
闘い、愛と真実を取り戻す物語だからだ。

にも関わらず、いや昨年末の事件が世界的に報道
されるよりもはるか昔から、インドには、
《数知れぬウルミー》
がいた。またデリー事件後、全インドで
「Hang the RAPIST!」「Stop this SHAME!」
の声が湧き起こり、婦女暴行に対する刑法が改正
されたが、その間もウルミーの悲劇は繰り返され、
今年8月ムンバイでは女性報道写真家が集団暴行
される事件が起きた。
各方面でいかに女性の安全を守るかが論じられ、
タミル・ナードゥ州では大学構内の女学生に「ドレス
コード」導入が検討され、デリー大学では女子学生
の研究旅行にスカートやショートパンツ、露出度の
高いシャツ等の着用が禁止された。
またメディアでは試論として、公共の場所における
女性を対象としたドレスコードの必要性についても
論じられた。これが、今現在のブッダの国、である。

インドについて幻想を抱くのは自由だ。
だがそれを、ファンタジーだけで終始させるのなら、
数知れぬウルミーたちを見捨てることになる。
「インドに呼ばれて…云々」
この言葉、CHOSEN PEOPLE(選民)思想に通じる。
ヨバレはエラバレの意識が“神秘の仮面”を被った
だけであろう。その所為かは知らないが、ヨバレに
陶酔する向きほど、カースト制度などインド社会の
現実に“見ざる言わざる聞かざる”を決め込むこと
が多いように思う。ヨバレ・エラバレという、いわば
上位カースト意識なのだろう。


映画『ダミニー』は、呼ばれざる者の物語である。

※追記
 本年9月13日現地時間14時30分デリーの
サケート裁判所は昨年12月の集団婦女暴行殺人
四被告(逮捕者六名。一人は未成年のため少年法
適用。もう一人は拘置所内で自殺)に対し極刑判決
を下した。
《ニュース動画》
 http://youtu.be/2kjzEN0jiaU

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