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2014年8月

穢土思草(えどしぐさ)

穢土思草(えどしぐさ)
穢土思草(えどしぐさ)
写真はインド西部の都市ムンバイにあるアジア
最大のスラム街ダラヴィで暮らす現代仏教徒の
子供たち。この子らは、ヒンドゥー教社会では
被抑圧階級(Dalit)として差別されている。
…穢土に咲いた小さき蓮の花。
「全ての人は自然権に於いて平等である」
その原点を獅子吼したのが釈尊であり、それを
インド憲法に明記したのが“不可触民”出身の
仏教復興指導者アンベードカル博士。
人はみな、神の前でなくても平等である、と。

過去の強権支配体制が美化される時、そこには
必ず《美しい国づくり》なるスローガンが掲げ
られる。失われた楽園への幻想は、各人の自己
浄化願望と相俟って、天使の仮面を生む。
また権力側にとっては伝統や美徳の名を借りた
虚構ほど、手軽な民心操作の術はない。
「江戸しぐさ(登録商標)」
今年度からわが国の道徳教育に取り入れられた
偽史。士農工商・血統世襲の差別社会であった
はずの江戸時代が、いつの間にか産業革命以後
の西欧なみに近代化されてしまっている。
この妄想を打ち破ってくれる待望の新刊が遂に
上梓されることとなった。原田実氏著、
『江戸しぐさの正体-教育をむしばむ偽りの
 伝統』(星海社新書) 8月25日発売

http://www.seikaisha.co.jp/information/2014/08/01-post-228.html
一般向けの書籍として、また史学界、教育界は
もちろん、宗教界の人々も注目すべき本だ。

さて、江戸しぐさには江戸の宗教事情をまるで
無視した捏造・歪曲も少なからず登場する。
例えば“人はみな、仏の化身”。
切支丹弾圧と宗旨人別制度のもと、支配政策の
ひとつに利用されていたのが江戸仏教。国学者
平田篤胤はそれを揶揄して、
「天子天台、公家真言。公方浄土に武士は禅。
日蓮乞食、門徒それ以下」
と詠んだ。一体どこを指して“みな仏の化身”
などと言えるのか。
或いは“人はみな、仏の前では平等”。
いわゆる「神の前の平等」を捩っただけなのは
歴然だが、これでは「お釈迦さまでも気が付く
めえ」と士農工商を是認していることになる。
また或いは、“結界おぼえ”。
自他の境界を弁える対人関係上の線引きという
ことらしいが、結界は仏教語であり、江戸時代
には「浄穢の忌み」に基づく差別をも意味した。

繰り返して云うが、これら偽史を宣揚する江戸
しぐさが、いま公教育の道徳授業に取り入れら
れているのである。
《差別のない明るい社会と美しい国づくり》
スローガンとはいえ余りにも矛盾し過ぎている。
まさか冒頭の写真の子らを蔑むような国に日本
を変えたい、というのでもあるまい。
甘美な幻想は江戸、いや穢土の現実からを目を
背けさせ、逃避させるだけだ。
「厭離穢土」は「欣求浄土」が伴ってこそ。

江戸時代、乞食以下と云われた門徒(浄土真宗)
の祖師:親鸞は、浄土を「真実報土」「諸智土」
とも呼んだ。土は境地を指す。

欣求とは、すなわち真実探求の意志である。

【※お知らせ】
Twitterで『アンベードカル博士の言葉_bot』を
開始しました。三時間毎に自動ツイートします。
アカウントは、@babasaheb_japan
宜しくお願いします。

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