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2015年1月

『MARY KOM』

『MARY KOM』
これは現代女性が起こした奇跡の物語。
ロンドン五輪女子ボクシングで銅メダルを勝ち
獲ったインド代表選手、メアリー・コム。
片仮名表記の限界を承知の上で書くなら、本名
マンテ・チュンネイジャン・コム。
インド北東部マニプール州出身のモンゴロイド
系民族で、二人の男児を持つママさん選手。

http://en.m.wikipedia.org/wiki/Mary_Kom
人々は彼女をこう呼ぶ。
「Magnificent Mary」(輝ける聖母)

実伝はウィキに委せるとして、拙はこの映画に
讃辞を惜しまない。全てが揃っている、と。
スポーツ映画らしい物語展開の要素(不撓不屈の
主人公、恩師との邂逅、好敵手登場 etc.)、女性
映画に必要な視点、ラブストーリーには欠かせ
ないお約束、そしてキャッチーな主題歌…。
何より驚くべきは、この作品が現在も活躍する
実在の人物を、事実に基づいて描いている点。
しかも主人公を演じる「ミスワールド優勝者」
プリヤンカー・チョプラは、ほとんど吹き替え
無しの体当たり!でそれに挑戦しているのだ。
また、メアリーが自宅で友人に手料理を御馳走
する場面〈床に胡座をかいてすわり手でムシャ
ムシャ食べる〉のリアリティは、インド庶民の
暮らしが自然に、いっさい美化されること無く
アート・フィルム的タッチで表現されている。

さて、彼女はなぜ「メアリー」なのか?
ウィキにも、カトリックの学校で学んだことが

記されているが、北東部モンゴロイド系民族は
ヒンドゥー教の原則ではアーディヴァースィー
(非アーリアンの少数部族)としてカースト制の
最下層に置かれることが少なくない。
被抑圧階級が差別解放を求め、平等を説くキリ
スト教やイスラム教、あるいは仏教に改宗して
いるのがインド社会の現実なのである。

メアリーが一方的に進めた試合が審判員の人種
差別による不正判定で負けにされた時、
「あたしがっ…マニプール人だからでしょ!」
と、社会の暗部を真っ向から告発している。
モンゴロイド系、つまり非アーリアンに対する
ヘイトクライムは近年インドの都市部で増加の
傾向にある。経済発展がもたらした格差が中間
層以下の生活を直撃し、その不満にヒンドゥー
教のカースト制におけるヴァルナ(肌の色)思想
が加わり、北東部からの出稼ぎ者に対する偏見
を捌け口として、弱い者が更に弱い者を叩くと
いった様相を呈しているのである。

…余談だが、首都デリーでモンゴロイド青年が
ヘイトクライムによって惨殺され、また一方で
この映画の製作が進行していたまさにその時、
モンゴロイドの国:日本では、ネットを中心に
アーリアンのイケメンを韓流よろしく持て囃す
「インド男子ブーム」が仕掛けられていた。
実になんとも情けない話ではある。


『Mary Kom』。この作品はアジア映画の良心
である。是非とも日本での全国公開を望む。

※YouTube動画
【Mary Kom - Official Trailer 】

http://youtu.be/OxsKcx1IwI8
【Mary Kom - Biography】
http://youtu.be/O4Xpk5tDpxU

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