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『BUDDHA』

『BUDDHA』
『BUDDHA』
『BUDDHA』
昨秋まで一年間インドの全国ネットZEETVにて
放送された大河ドラマ『BUDDHA』。
毎週日曜午前11時と同19時再放送という強力な
プッシュで、人間社会に今もなお続くさまざま
な矛盾、差別、因習に切り込んだ「問題作」。
いわゆる仏伝に見られる荒唐無稽な誇張表現を
理性的に削ぎ落とし、新解釈も加えつつ《人間
ブッダの物語》を現代によみがえらせた。特に
注目すべき点は、これまで添え物的な役回りに
過ぎなかった継母プラジャーパティの内面や、
紋切り型の悪役だった従兄デーヴァ・ダッタの
苦悩を、それぞれ心の襞に寄り添うように描き
出したことだ。


プラジャーパティは、亡姉マーヤーの後添えと
してシュッドーダナ王のもとへ嫁ぎ、姉の遺児
シッダールタ太子を立派に育て上げた。
ドラマでは、彼女に実子が出来なかった設定に
なっており、それはヒンドゥー教社会において
カーストの存続に貢献しなかった〈罪〉と見な
される。その後、太子は出家、王も逝去。
嫁のヤショーダラーからシッダールタのあとを
追って城を出たいと相談された夜、初めて積年
の思いを吐き出す。
「貴女には出家したとはいえ夫がいる、長男の
ラーフラもいる。家族がいるわ。でも私は独り
きり。姉の代理妻、そして代理母。私は今まで
ずっと独りぼっちだったのよ…」
彼女は《抑圧されし人々》の悲しみを背負い、
ブッダに女性の出家を嘆願(それまで尼僧は存在
しなかった)。許可を得て、歴史を変えた。


デーヴァ・ダッタは才気闊達な若武者だった。
傍流の子ながらも未来を嘱望されたデーヴァに
従弟が誕生、嫡流シッダールタ太子だ。その、
諸人を惹き付ける天賦の魅力はデーヴァにない
ものであり、学問や武芸においては互角以上で
あった。やがて二人は、同じ少女に恋をする。
才色兼備のヤショーダラー姫。
婚約を賭けた武術対決で勝利を確信した直後、
逆転の敗北。恋も人望も一瞬にして失い、生き
ながら地獄に落ちた。
「神よ!あんたは俺をいとこの〈咬ませ犬〉に
するため、この世に遣わしたのか!」
シッダールタがブッダとなった後、復讐の念を
抱えて弟子入り。暗殺計画をしくじり、瀕死の
重傷を負う。だがそれを手当てしたのはブッダ
だった。デーヴァは安らかに息を引き取る…。


さて、Buddhaは、ヒンディー語では「覚者」の
意味であると同時に、Yuddha(戦争)の反対語的
な響きをその音韻に湛えている。
差別と憎悪、対立の絶えない二十一世紀。
ドラマ製作者の願いはそこにあったのである。

〈総集編〉 https://youtu.be/bJNKjSAK4Ic
冒頭に広島への原爆投下が描かれる。

全話収録のスペシャルDVD box、インド国内で
近日発売予定。ぜひ日本でもオン・エアを!


【写真上】オープニング。向かって右上は舞姫
アンバパーリ、左下はアジャータシャトル王。
【中】尼僧許可を談判するプラジャーパティ。
【下】デーヴァ・ダッタの最期。

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